Summary: KiCadのPcbnewを使って基板を設計している時に、半田付けパッドを追加したい場合が良くある。当記事では、基板の任意の場所にお手軽に簡単に半田付けパッドを追加する方法を紹介したい。具体的にはviaを使うのだ。
KiCadを使って基板を設計する場合には、通常は以下の手順になる。
以上のような流れでKiCadを使って基板を設計して行く。
さて、このような流れでプリント基板のデザインを行う訳だが、実際に基板をデザインしていて良く経験する事柄として、「半田付けのパッドを追加したい」事が多々ある。
具体的な例を上げると以下の通り。
などだ。
これら以外にも色んな状況は考えられる。
さて、このようにPcbnewで基板設計時にパッドを追加したい場合には、正統的なやり方としてはEeschemaにそのパッドの元になる何らかのパーツを追加する。
例えば1ピンを持つコネクタ端子などを追加するのだ。
そして、そのパーツに1つのパッドを持つSoldering Padなどのフットプリントを割り当てれば良い。
ところが、このやり方だとパッドを追加したい時には毎回Eeschemaで対応する部品を追加する必要があるので面倒だ。
それに、ユニバーサル基板みたいに数十個や数百個ものパッドを追加したい場合には作業が面倒なので無理がある。
以下では、もっとお手軽に任意の場所にパッドを追加する方法を紹介したい。
そう言う場合には、viaを使えば良いのだ。
viaもpadもどちらも円形のランドで中央にはドリル穴が空いている。
両者の違いはviaはF.CuレイヤーもB.Cuレイヤーもどちらもレジストで覆われているので半田付けが出来ない。
一方、padの場合なら、F.CuレイヤーもB.Cuレイヤーもどちらもレジストで覆われずに銅箔レイヤーが露出している。
実際にやってみよう。
下図に三つのviaを追加した。長方形枠で囲ったGND, Vref, +12Vの三つのviaだ。
viaを配置したあとでF.CuかB.Cuのレイヤーを露出させてやれば半田付けが出来るPadとして利用出来る。
その為には、viaの場所に同じ大きさで円形のマスク追加すれば良い。
例えばF.Cuの銅箔を露出させたい場合には、F.Maskに円を描けば良い(下図)。
そうすると、viaのF.Cuの円形領域において、そのF.Maskパターンと重なる部分の銅箔を露出させる事が出来るので、半田付けパッドが出来上がる(下図)。
もし必要なら、B.Maskにも同じ円を描けば、両面共に半田付けパッドが形成出来る。
F.Maskに描画した円を少し移動してみた(下図右)。
そうすると上図左の3Dイメージでは、露出する銅箔部分も連動してずれるので、F.Maskがどういう意味を持っているのかを理解する事が出来るだろう。
この手法には色んなメリットがある。
このようにviaをPad化する手法には色んなメリットがある。
それらを具体的に説明したい。
まず、viaはPcbnewの操作で基板上の任意の場所に自由に配置できるので、わざわざEeschemaにパッド用に何らかの部品を追加する必要が無い。
viaはその直径やドリル径を自分で自由に編集できるので、viaをパッドとして利用した場合には、まずは大き目のviaを配置すると良いだろう。
そして、そのviaの上に、先ほど説明した手順で円形マスクを配置すれば良い。
さらに、Pcbnewでフットプリントを更新する操作をするとEeschemaに無いフットプリントは勝手に削除されるが、viaの場合には勝手には削除されない。
このviaをPad化する手法やり方だと、基板のどこにでも好きな位置に自由に半田付けパッドを追加出来る。
かつ、ユニバーサル基板のように多数のパッドを配置したい場合には、このviaとマスクのセットをコピーペーストして多数配置すれば良いのだ。
この方法は、手軽にパッドを配置できるのでお勧めだ。
皆さんにもお勧めしたい。